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執筆者の写真川上 信也

阿蘇は雪景色

 



 朝方のラジオで阿蘇が雪景色というので、急いで準備して向かった。 阿蘇の雪景色は先月も撮影していたのだが、思ったほど積もっていなくて再度の挑戦。 天気もいいし、前回よりかなりいいのではという期待。そして前回の撮影がとてもいいロケハンになってくれたので撮影場所もある程度決めてしまっていた。

 お昼前に阿蘇北側からの登山道に入った。道路は途中から白くなりはじめ、米塚あたりからは冬用タイヤ必須という状態。昨年の11月にブリヂストンの新品スタッドレスタイヤに交換していたのだが、前回の時も滑ることはなかったので、ある程度安心して草千里方面へと向かった。

 すると途中から周囲の木々が樹氷に輝き始めた。美しい道だ。途中で停めて撮影しようかとも思ったけれど、とりあえず草千里駐車場まで行って歩いてじっくり撮影すればいいということで通過。ちょっともったいなかったなあと今にして思ったり。



 草千里が見えてきた。真っ白だ。有料駐車場に車を停めてしばらく眺めてみる。おー、けっこう積もっている。 前回は烏帽子岳麓と中腹まで登って撮影したのだが、反対側の杵島岳遊歩道が非常に良さそうだったので、今回は最初からそちらの遊歩道へと向かった。この遊歩道は今まで登ったことがなかったのだが、眺めがものすごくいい。しかも整備されていてとても登りやすい。どうして行かなかったのかなあ。まだまだ知らないととこだらけだ。

 駐車場からすぐその遊歩道は始まっている。1分も登るともう周囲が霧氷の木々に囲まれた。なんて素晴らしい遊歩道。そして青空も映えてとてつもなく美しい。有料駐車場に停めるとみんな条件反射のように草千里に行ってワーイとなるけれど(僕もかつてそうだった)、反対側のこの遊歩道の美しさをきっと知らないんだろうなあ(僕も知らなかったんだ)。



 10分ほど登ると景色が開け、樹氷の向こうに中岳と噴煙が見え始める。こんな阿蘇は見たことなかった。これほど天気のいい雪景色の日に来たことはなかったのだ。途中で南阿蘇村に住む知人に遭遇したけれど、その方も「これほどきれいな時はめったにないなあ」とのことだった。実はこの日の朝は英彦山か阿蘇かでちょっと迷っていたんだけれど、阿蘇でよかった。英彦山はすでに溶けているようだったので。


 そしてたっぷり撮影して午後3時前に駐車場に戻ってきた。腹減った。お昼も食べずに撮影していたのだった。夢中になると空腹も気付かないもんだな。

駐車場付近にはいくつかお店がある。「ニュー草千里」という建物が目の前にある。名前からしてものすごく古い「ニュー」なのだが、去年だったか、この古びた建物の一階にお洒落な珈琲屋がオープンしている。先日はこちらで珈琲をいただいたのだが、白を基調とした草千里とは思えない現代的な店内で、スタッフもみんな白い服を着ている。やってくるお客もみんな若い人たちで、キャッキャいいながら写真撮ったりしている。山登りの恰好している50代の僕はとても場違いのように感じられた。スタバに入りづらいという老人の感覚に何だか共感してしまったではないか。ちょっと悲しいな。

 ということで今回はその並びにある別のお店へ。珈琲屋と違って誰もいない店内だったので大丈夫かと足が止まったけれど、自動ドアが開いてしまって「いらしゃいませどうぞー」と言われて出にくくなってそのまま草千里が見えるカウンター席に座った。

 名物ということで馬肉コロッケがある。草千里は馬に乗って遊ぶ場所でもあるのだが、そこを眺めながら馬を食うというのは何だかシュールだ。

 でもそれ以外食べたいものがなかったので、とりあえず馬肉コロッケバーガーのようなものを頼んだ。しばらく草千里と烏帽子岳を眺めながら撮影した写真を確認。いい撮影ができたなあ。食べたら草千里に行ってみよう。雪もまったく溶けていないようだし。

で、肝心の味はというと、あまり味わって食べなったので忘れてしまった。食レポは向いてないってことだな。一緒に頼んだホットミルクは美味しかった。


 それから夕方まで草千里にて撮影。ファインダーをのぞきながら、これがカレンダーになったらいいだろうなあと思えるような光景がたくさん。

 そして夕焼けの光になってきた。西の空の太陽が雪の大地をオレンジ色に染めている。そしてふと太陽の左側の空を見ると、不思議な光が。最初は飛行機雲かと思ったのだが、七色に光っている部分があり、しかも相当に細くまぶしい光。雲と光の関係がどうにかなった現象なんだろうけれど、きっと珍しい現象なのではないだろうか。




 そして太陽が沈み、一気に寒くなる。もちろん今までも寒かったけれど、それにもまして冷え込み、車の気温計はマイナス6度となって「外気温注意」の警報が鳴った。道路はいわゆるアスファルトが凍っているブラックアイスバーンの状態で歩くのも危険な状態。こんな状態でもスタッドレスタイヤは大丈夫なのだろうかと恐る恐る発進してみると、やはり滑らない。もちろんスピード出せば滑るだろうけれど、ゆっくり走るぶんにはまったく大丈夫な様子。30キロほどでゆるゆる進み、有料駐車場を出て、道路沿いにある草千里展望所の駐車場へ。

赤い空に藍色の闇が覆いはじめ、その中で真っ白な雪をかぶった中岳が浮かび上がってくる。

やがて月も輝きはじめた。




                  撮影 FUJIFILM GFX50sⅡ 35-70 Velvia

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