先日京都へ行った際、駅の書店で本を買った。
旅先での買い物は(仕事でもあったんだけど)重くなるので極力控えているけれど、本屋に立ち寄った際にゴッホの星月夜の絵の表紙が目にとまり、やはり買わずにはいられなかったのだ。しかも文庫本ではなく、重い単行本。
原田マハ著 「たゆたえども沈まず」。
原田マハは数年前からずっと読み続けている。絵の世界の魅力を物語と共に伝えてくれる大好きな作家。そのおかげで美術館に足を運ぶのがどれほど楽しくなったことか。僕のひそやかなる趣味はいろんな美術館に立ち寄ることであるけれど、原田マハの本の影響がとても大きい。
好きな作家、好きな本との出会いは多くの物を与えてくれる。旅の楽しみももちろん、世界の見方まで変わってくるし、もちろん僕にいたっては写真にとても大きな影響がある。具体的にどうといわれると言葉ではなかなか難しいことなんだけど、写真で表現する空気の流れのようなもの。絵の世界の物語、画家のドラマを知っているだけで自然と影響してくる内面的なもの。
京都の喫茶店でしばらく読みふけり、帰りの新幹線でもずっと読んでいた。ゴッホとテオ、そして当時パリで浮世絵などを扱っていた日本人二人の史実を元にしたフィクションであるけれど、もしかするとこういうことも本当にあったかもしれないというワクワク感がたまらない。そして単行本の手触り、やはり紙っていいなあと改めて思いながら博多に着。
しばらくゴッホの世界に浸りたい。天神の古本屋でオランダのゴッホ美術館名画集というのを見つけ、こちらもさっそく購入。一冊の本からいろいろとつながってゆく世界。