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執筆者の写真川上 信也

写真集「フクオカ・ロードピクチャーズ」

先日の朝日新聞、5月9日朝刊に、ブックスキューブリックの大井さんが登場。そして「読んで旅して」というコーナーで僕の写真集「フクオカ・ロードピクチャーズ」を紹介していただいていた。その日の朝、僕はくじゅうにいたのだが、大井さんからメールがあり「朝日新聞で川上さんの本を紹介させていだだきました。結構大きく載ってますよ」という連絡があったのだった。記事の写真を友人に送ってもらうと、おおっ、結構大きいなあとと感激。発売から10年も経った本がこうやって大きく新聞に載るなんてなあ。見た方からは大井さんを僕と勘違いして「顔変わったねえ」と思った方もおられたようだけど。掲載されている顔写真はブックスキューブリックの店主、大井実さんです。記事にもあるように、この「フクオカ・ロードピクチャーズ」という題は大井さんに考えていただいたものです。




 この写真集は10年前の2011年に花乱社から出版したもの。元海鳥社の編集長、別府さんが一人で出版社花乱社をたちあげ、その第一弾の本。僕が撮りだめていた福岡県内の自然風景をまとめていったのだが、2006年に出版していた「福岡の休日」と違いを鮮明にするために、福岡県内を広く撮影したものにしようということになった。「福岡の休日」は福岡市近郊という感じだったのだが、「フクオカ・ロードピクチャーズ」は筑豊や八女、豊前も含めたかなりの広範囲となる。まだフィルムでの撮影も多かったころ、PENTAX645での撮影もある。懐かしいな。

 編集は当時聴きまくっていたビーチボーイズの「ペットサウンズ」、ビートルズの「ラバーソウル」を部屋で流しながら作業していたので、このアルバムを聴くとこの本の編集風景を思い出す。ペットサウンズのように美しく、そしてラバーソウルのように起伏豊かに、といった具合に。 もちろんこれは自己満足の世界ではあるけれど、自分の作品集なのでこの自己満足はとても大切なこと。

 表紙のデザインはデザインプールさんにお願いしたのだが、候補が4種類くらいあったと記憶している。題字ももともと「福岡ロードピクチャーズ」だったのだが、すべてカタカナになっていた。そのほうがデザイン的にいいのだとのこと。おそらく商業的には漢字のほうがよかったとは思うけれど、別府さんとちょっととんがった本を作りたかったのでそのままカタカナに。そして本の向きも独特だった。横写真を縦表紙に使用しているので、手に持った時だいたいまず傾けてみることになる。題字も横になっているし。不思議な装丁の本だ。だからこうやって新聞に掲載されると、本の向きが違うとうよくいわれる。今回も「本の向きが違うよ、朝日新聞大丈夫かなあ」なんて言われたけれど、この向きで正解です。紛らわしくてすみませんねえ。

 そしてこの本の表紙はその後、何かのデザインイベントで賞を撮って博多リバレインで展示されていた記憶がある。やはりデザイン的には面白いんだろうなあ。

 そして時は2011年だったので、東日本大震災のことが新聞でもずっと報道されていた。

そんなときに写真集の紹介というのはなかなかできず、本の宣伝にはかなり苦労した記憶がある。2か月後に毎日新聞さんが結構大きく紹介してくれたので、これはとてもありがたかったなあと。こちらは僕の写真です。若いなあ。




  その後もじわじわといろんなところで紹介されることになり、今回は10年目の記事となる。

 僕がひそかに思っていたのは、ビーチボーイズの「ペットサウンズ」は今でこそ名盤と言われて世界のアルバムランキングで1位になったりしているけれど、発売当時はまったく評価されずに埋もれてしまったアルバムだという。それが次第に評価されてゆくというのは、うーんこの本とほんのちょっとだけ似ているではないかと思ったり。これも自己満足ではあるんだけれど。

 さて、これから僕の本たちはどのように評価されてゆくのだろう。

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