top of page
執筆者の写真川上 信也

ツキイチルスカの旅

ほぼ毎月、ルスカファクトリーで旅の取材を行っている。月に一度なので僕らはツキイチルスカの旅と呼んでいる。通販会社の冊子で数年前からルスカが編集を担当し、僕が旅のコーナー4ページと表紙写真を担当。以前は僕とサワさん、ヤスタケさんのほかに会社の方々や印刷会社の方まで来られて、大人数での旅の

取材を行っていた。さすがに今の時代にこの人数はないよなあということで、ここ数回はサワさんと二人で行っている。

 今までに福岡、大分、熊本、鹿児島、山口、広島などなどへ行ってきたけれど、読者は全国におられるので、なんで九州とその周辺ばかりなんだと不思議に思われているかもしれない。僕がたとえば東北の読者だったとしたら、あまりに遠くの旅ばかりでとても行けないじゃないかと怒ってしまうかもしれない。でも結構評判はいいようなので、まあ僕たちはそれほど気にせずに近場の旅で仕事を進めている。通販会社の本社が大分という事を読者はちゃんと分かっていて、コロナで遠くへ行けないんだなあと優しい眼差しで見ていてくれているのかもしれない。


 で、今回も近くで長崎だ。まあ僕らにとっては近くだけれど、北海道の方にとっては西に端っこの未知の国というイメージだろう。

 サワさんとはクリムの取材をやっていた頃から全国の旅取材しているので、はっきり言って気を使うこともなく気が楽。とはいえ一日の旅に取材を詰め込んでいるのでかなりハードとなる。しかも適当に時間配分を決めてしまっているので、ひそかに僕がルートを確認している。

 今回は最初の取材が9時スタートとなっていた。福岡から長崎まで車で2時間半ほどかかるから、こういう取材の時はできるだけスタートを遅くしておいてねと言っているんだけど、いつも無視されるので(やれやれ)早朝出発となる。だからこの日も僕は5時過ぎに起き、6時半ごろサワさんを迎えに行って高速に乗って長崎へと向かった。

 9時にペンギン水族館に到着してさっそく取材開始。スタッフが丁寧に説明してくれるけれど、僕はいいアングルを探しながら動き回っていた。まあいつものことだけれど。

 そして10時半にはグラバー園。12時には出島という感じでいつものように非常にバタバタと取材をしていった。


                        グラバー邸からは港、稲佐山が見える

                  出島には当時を再現したリアルト橋のような階段が   

 


そしてここからが今回の取材の山場となる(ここまでで結構歩き疲れてたけれど)。

 眼鏡橋、寺町通、亀山社中跡、そして風頭公園をまわり、最後は稲佐山で夜景。稲佐山はともかく、眼鏡橋からは石段ばかりの歩きとなる。出島付近で車を置き、路面電車に乗って眼鏡橋付近に向かった(乗り間違えて大回りした…)。

 眼鏡橋をまず撮影。ランタン祭りの準備をしていて、橋のたもとにはこれから吊るす予定の鮮やかな提灯がいくつも川べりに置かれていた。川べりに降りていいアングルを見つけたので3分ほどで終了。近くの中華料理屋「共楽園」でちゃんぽんを食べ、それから亀山社中へと向かう。



 寺町通りを過ぎると「龍馬通り」という看板が現れ、そこから石段が続く。こういう時はあせって早足になると息が切れるので、とにかくゆっくりと登ってゆく。ほぼ登山。途中ネコが数匹姿を現し、休憩がてらにしばらく頭をなでてゆく。



 そして20分ほど登って亀山社中に到着。

ここは学生時代に来たことがある。当時は単なる民家のような内部でボランティアのおじさんが熱心に説明してくれていた。今はすっかり改装されていて、狭い内部に立派な受付まであった。まあ大河ドラマもあったからね。しっかり整備されたんだろう。内部にはいろいろな資料があり数人の方が熱心に眺めている。けれどそちらは撮影不可。坂本龍馬等身大のパネルのある部屋はOKというので、とりあえず内部を撮影。そして記念にサワさんにも龍馬と同じポーズをしてもらった。もちろんこれは遊び写真。間違えて納品したら恥ずかしい一枚となる。マスクは顔が隠れるからちょうどいいとのこと。なるほど。



 当時の僕は「竜馬がゆく」を熱心に読んでいたので、ここに来るだけでものすごく感動した事を覚えている。海援隊隊員たちの名前もほとんど覚えている。もちろん今でも坂本龍馬はとても好きだけれど、当時のように熱くはなれない。ちょっと寂しいかな。あれが20代の頃の熱量だろうか。でもまあ今は今で写真に熱く取り組んでいるわけで、熱くなるものが移り変わってきたということだろう。ただ当時の熱さをとても懐かしく感じられたのだった。そういった意味でずっと坂本龍馬を熱く尊敬し続けている武田鉄矢はすごいなあと思う。この亀山社中跡の館長を務めているらしい。


 それから再び石段を歩いて風頭公園へと向かい、龍馬の銅像を撮影。この銅像はちょっと力強すぎるかなあ。高知のほうがリアル。

 石段を下り、結構疲れたので喫茶店を探して入った。カステラ元祖の「松翁軒本店」の二階が喫茶室。しばし休憩。僕は珈琲とカステラセットを頼み、サワさんはこのお店特製のミルクセーキが飲みたいという。しばらくしてやってくると結構大きい。どうせ全部飲みきれないんだろうと思っていたら「お腹が冷えた」とつぶやいて僕のほうへ。いつものパターンであるけれど、僕が半分以上食べることになる。お腹が冷えた。



 アプリの万歩計は2万歩を超えていた。50代二人の取材にしてはかなりハードだろうと思うけれど、まあいつも楽しくやっている。撮影は任せてくれているし、特に何も制約もなく取材を続けているので。

 車へと戻り、稲佐山へと向かう。ここは夜景とスロープカーの撮影が主な目的。スロープカーができたなんて初めて知ったけれど、有名なデザイナーが手掛けたものらしい。往復で乗ってみたけれど、まあ乗りながら夜景が見られるというのは稲佐山ならではということになるんだろう。



 ここは世界3大夜景。 暗くなってきたのでスロープカーの車窓から夜景を眺めてみた。確かにきれいだけど、皿倉山の方がすごいような。長崎に失礼か。月がほんの少し顔を出していた。



 港で夕食を食べて福岡に帰ったのは夜の10時過ぎ。

長い一日だったけれど、こんな時代でも旅の取材ができるなんて幸せなことだなあと思う。

閲覧数:33回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page