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川上 信也

うねり


いつのことだったかずいぶん前のこと、知り合いの編集者から髪の毛のクセについて指摘されたことがあった。それは梅雨空が続くとても不快なる日だったように思う。そして湿気が多いととにかく髪の毛はうねってくる。どうしてだろう。その日も僕はかなりクルンクルンと目が回りそうなくらいにうねっていた。

そんな僕の頭を見て編集者は、「何だか人生のうねりを迎えてるんじゃないの」と言ったのだ。そう言われれば確かにその頃の僕は安定とはほど遠く、さてこの先どうなることやらと荒波を受けながら仕事をしていたのだ。そんな心の状況を髪の毛が敏感に感じ取っているのかと振り返ってみると、確かに髪の毛のうねりと心身の不安定さは繋がっているかもと思わせる事が多かったりする。僕の場合は心にストレスを抱えると髪の毛にうねりとなって出てくるのかもしれない(ハゲでなくてよかった)。それはある意味人生の荒波(うねり)に備えよというメッセージともいえる。そんな僕を編集者は「ウネリン」(野球のムネリンにかけたと思われる)とか呼んでうれしがっていたけれど。

そしてここ数ヶ月、僕の髪の毛はものすごくうねっていた。いつものように右のおでこあたりが特に。どうやっても収めることができず、前髪を上げたりしながら隠すように工夫していたのだが、連日の湿気のため一時間もすれば隠しきれずにクルンクルンとカール状態になってゆく。それが右回りだったり左回りだったり自由奔放。そんなうねりはやはり髪の毛だけではなかった。いろんな転機と思われることが続き、心身はかなり乱れていたように思う。すると不思議なものでそれに続けといわんばかりにカメラは故障し、車のエアコンは効かなくなり、今年買ったばかりの洗濯機は脱水時に暴れるようになった。おまけに春からは歯医者通いが続いている。

大きなこと小さなこと、うねりと共にやってきた。

そして梅雨があけ、ほんの少し落ち着きを見せはじめたのが今日この頃(髪の毛もいろんな状況も)。カメラの修理は終わり、歯医者もとりあえず一区切りがつく。車のエアコンも原因が判明。仕事も来年に向けていくつか決まり、来月からは新たなる環境での仕事もスタートしてゆく。

まあいろんなうねりがあってこそ面白い人生とも言えるんだけど 今年のはじめから始まったうねり、そろそろ収束(終息かな)してほしい。

シャンプー変えようかな。

そんな状況の中、百道浜へ


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