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川上 信也

読書のこのごろ


この頃映画をまとめて見たり、本を一気に読んだりしている。そういう時期が年に一度か二度ある。本や映画から新たなる世界を発見することがよくあるので、これはできれば習慣にできればと思っている。本は習慣のように読んではいるけれど、映画はなかなかできないので、時間が許すときにできるだけ見ていこうと思っている。

 映画は先週から「道」や」「アフリカの女王」、「雨に唄えば」、日本映画では小津監督の「東京暮色」「晩春」などを見た(古いのばかりだ)。どうして古いのばかりになっているかというと、名画といわれるものを今一度じっくり見てみたい、という理由と、新しい映画はハズレもよくあるということだ。2時間が無駄になってしまったということが以前続いてしまったので、確実にいいと思われるものを選んでいる。小津監督の映画ならいろんな発見がありそうだし。

 先日「晩春」を見たのだが、これも心に染み入るような静かな哀愁を感じさせる映画だった。ラストのシーンはもしかすると「道」を意識しているのでは。どっちが先だったっけなと思うんだけど。「道」があとなのかな。

 小説では久しぶりに村上春樹をまとめて読んだ。毎月教えている北九州での写真教室でよく本をいただいたりしているのだ。その中に「騎士団長殺し」があった。ものすごく分厚いハードカバーの2冊だったけれど、面白くてやめられなくなってしまった。村上春樹を読むといつも思うんだけれど、とにかく比喩の表現が多くて、それは面白かったりちょっとしつこいと思ったり。 例えばファミレスの駐車場にミニバンの日本車が並んでいる光景を、どれも同じようでまずそうなビスケットの箱のよう、というような感じ。僕もこの頃の日本車の同じような顔つき(怒り顔ばかりだ)には少々うんざりしているけれど、おそらく村上春樹も同じ思いなんだろうと痛快に思えた。

音楽の話が必ず出てくるのでついつい聴いてみたくなる。思えば僕がクラシックを結構聴くようになったのも村上春樹を読み始めてからだ。今回も久々にじっくりと聴いてみたくなった。

 続けて「色彩を持たない 多崎つくると 巡礼の年」も読んでみたけれど、これにはリストのピアノ曲が出来てくる。「巡礼の年 ル・マル・デュ・ペイ」。まったく知らないのでいつか聴いてみようと思う。

音楽は聴くことができるとして、車に関しては実際に乗ることはできないので少々もどかしい。ジャガーとかミニクーパ、レクサスなどなどが出てきたけれど、まったく縁のない車の数々。いつか助手席でいいから乗ってみたいとは思うけれど。世界が変わるのだろうか。まあサンバーで十分だったりもするんだけど。

夕方に百道浜へ自転車で。映画や本の影響でちょっと視点というか心の持ち方が変わってくるような気もしたけれど、やはり気のせいだ。もちろんいい影響は受けたいと思うけれど。

いつものようにしばらくシャッターを押してゆく。


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