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川上 信也

切手


数カ月前のことだけれど、Amazonで「青春の門 放浪編」の中古本を注文し、しばらくして送られてきた。

Amazonでの注文はたとえ中古本でも業務的な伝票がただ一枚添えられているだけのことが多いのだが、この本はどうやら個人店主の方から送られてきたようで、本はものすごく丁寧に包装され、カバーには昔の本でよく見かけた薄い和紙のようなものでくるまれていた。しかもこの本の舞台、北海道からだ。注文のときはそんなことまったく知らず、ただパソコンからボタン一つで注文していたのだ。そんな軽々しい気持ちを反省したいような気持になってくる。この本、きっと大切にされてきたんだろうなということも伝わってくる。

そして送られてきたときにまず目を引いたのが封筒だ。この切手の数々!。見ているだけで楽しい。

1959年、1961年のお年玉切手、1965年国体記念切手、春日大社赤糸威鎧、日本万博博覧会などなど。かなり貴重な切手の数々ではないだろうか。まったく他人の僕にこれだけの切手を使って一冊の本を送るなんて、ユーモア、愛情にあふれた方なのかもしれない。お礼状でも送りたいなと思うのだが、Amazonで注文したものにお礼状って失礼なのだろうかなどと妙な感覚になってくる。さりげなく喜んでいただければ、という人なのかもしれないし。かえって気を使わせてしまったりするかなあなどと躊躇しながら何も書けないでいる。


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