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川上 信也

福岡市美術館


 リニューアルした福岡市美術館へ。

展示されている美術館のコレクションなどを見て回った。

最初にシャガールの絵があった。僕はシャガールの絵の中ではここが所蔵する「空飛ぶアトラージュ」の絵が一番好きだ。何度か見たことがあるけれど、今回改めてじっくり見た。妻を亡くして再出発への想いを込めて描かれたもので、その想いが強く伝わってくるようで、見るたびに胸がギュッと締め付けられるような感じがする。それが次第に感動へと変わってゆくわけなんだけど、題名の隣に書かれている学芸員の豆知識的なコメントがかなりイマイチで、そんなことここでいわなくていいのに、と思ってしまう。こういうコメントは美術館のパンフレットか何かでいうべきだろうと思うのだけれど。本物の絵を前にして読むものではないように思う。ちょっと感動が薄れてしまった。

ここは建築も見どころで、ル・コルビュジェの弟子であった前川國男の設計。

1979年の建築だけれど、この時代の建物というのはビルにしても公共施設にしても素晴らしいものが多い。細やかな芸術が施されているというイメージ。今のビル建築などはどうしてあんなに軽く思えてしまうんだろうと不思議に思う。この時代の建築はかなりどっしりしているイメージ。

リニューアルされたとはいえ、継承されているのでそのままのものも多い。とても印象的な照明はそのままだ。電球からLEDには変更されたらしいけれど、形はそのままでよかったなあと思う。

またロビーにある椅子は当時の物を修理して使われている。前川國男監修とのこと。革張りの椅子。これが自由に座れるなんてとても贅沢と思う。

外観はタイルに覆われている。これが前川建築の特徴らしい。愛知県で焼かれた特注品とのこと。同じ色が一つもないらしい。確かに。

建築を眺めるだけでもここへ来る価値があるように思う。

そしてロビーで椅子に座って本を読む。

気が向けば展示品を見て回る。

大濠公園も眺めながらいい時間になりそうだ。

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