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川上 信也

The Creation. Fukuoka Vol.5


 家から百道浜まで歩いて30分くらいだろうか。

 大きなクスの木が見事な小童神社をお参りしながら参道をぬけ、猫の多い酒屋をのぞきながら通り過ぎ、ペン専門の不思議な文房具店を垣間見て交差に出る。おそらく昔はここまで海岸だったんだろうと思わせる松林の遊歩道を歩き、ちょっと高級そうな住宅街を過ぎると金屑川に出る。歩行者専用の橋を渡り、川沿いを歩いてゆく。室見川との合流地点が見え始めると、冬鳥が多くみられるようになる。地下道を抜けると室見川河口となり、遊歩道が海まで続いている。都市高速の青い橋の映り込みが水面を揺らがせ、左手に遠くにマリノアの観覧車が見えてくる。右手には福岡タワーが高級住宅街の向こうに見え隠れしている。時々釣り人がじっと川面を見ながら竿を揺らし、ジョギングの人たちがその横を通り過ぎる。

そして海に出る。

いつものようにさざ波程度の小さな波が小さな貝を行ったり来たりさせている。砂浜の向こうにマリゾンと福岡タワー、シーホークホテル、そしてドーム球場が見えている。一気に近代化したような不思議な街並みだ。

夕暮れ時はいつも離陸する飛行機が上空を通り過ぎてゆく。海には大型クルーズ客船がゆったり移動していて、時々海の中道行きの小さな船が小さな波を発生させながら通過してゆく。海に目をやれば、ホテルのキラキラした壁面が夕陽を反射させ、それが波打ち際を金色に輝かせている。

砂浜では外国人たちがビーチバレーをしている。写真を撮っている人たちはきっと中国か韓国の人たち。一気に国籍が多様化する。

再び海岸沿いの道を戻り始めると、能古島が黒いシルエットとなり、灯りがポツポツと見え始める。観覧車がライトアップされ、室見川に夕日が反射する。

そんな日常の散歩の光景がとても好きだ。

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