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川上 信也

撮影の日々


先日からとあるお店の撮影が始まった。

福岡では大人気のお店。

別に隠しているわけではないけれど、ちゃんと誌面になってからでないと気持ち的に落ち着かなくなってくるので、いずれお伝えします。雑誌の連載と本の制作ということなので、かなりの撮影枚数になってくる。

一つのお店に通って撮影するというのはもちろん初めてのことであるし、どういう撮影になるのかやってみないと分からないという不安もあった。僕は今までずいぶん場数はこなしてきたつもりだけれど、できるだけ自信など持たないようにしている(岡本太郎の言葉に従って)。たえずいつも不安だらけだ。この不安があるからこそどのようにすべきかを考えさせてくれる。不安はとても人間にとってとても大切な感情なのだ(五木寛之の言葉に従って)。

 とりあえず撮影本番の数日前に下見にでかけた。そこで室内の灯りの状態を確かめ、何度もどの設定で撮影するかをテスト。フィルムシュミレーション、ホワイトバランス、WBシフト、ハイライトトーン、シャドー、そしてレンズの選択、かなり事細かにシチュエーションを思い描き、店内のこの場所ではこの設定、こちらではこれ、という具合に決めていった。

 本番は早朝6時からだったので、小さな窓からの自然光は入らない。店内は白熱球のみ。ただ太陽が昇るにつれて自然光の影響が入ってくる。これはむしろ小さな窓を覆って安定した状況の中で撮影したほうがいいのではと思い、窓を覆うものを用意。

 などなどいろいろと状況を思い描きながら準備をして撮影初日を迎えた。寒い冬の朝、久しぶりの緊張感。

そして6時半ごろから撮影開始。直前でやや赤みが強いのではと思いはじめ編集者と相談し、WB設定を200K下げての撮影。

と、こんな感じで夕方6時過ぎまでいろんな撮影をさせていただいた。みんな早朝からこんなに一所懸命働いてるんだなあと改めてこのお店の方々に敬意を抱いた。

これから月に数回、早朝からこのお店での撮影が続く。

 ここは上空すぐを飛行機が飛び交う場所。


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