top of page
川上 信也

鹿児島へ 新幹線での一枚


鹿児島市内での撮影が入ったので、前日の夕方から新幹線で鹿児島へと向かう。

時間に余裕があるときは車でよく行っていた鹿児島だけれど、車だとだいたい4時間半くらいかかってしまう(僕がまたゆっくり運転なので)。新幹線だと1時間半ほどなので、この差はとても大きい。しかも前日に夕方6時半まで撮影が入っていたので、それから車となると真夜中到着になってしまうのだ。5年前ならそうしていたかもなあ。九州新幹線ってありがたい。

この頃は新幹線乗り場にある本屋さんで気になった本を買って乗り込む。この日は原田マハの「フーテンのマハ」を選んだ。ここ1年ほどはずっと原田マハの本を読んでいるけれど、この方の本でアートに興味を持ちはじめたので、本から得る刺激はとても大きい。要するに旅先で読む本から様々なインスピレーションを得ているということになる。

窓側の席に座り、さっそく本を読む。カメラも構えていて、ちょっと一息ついたときに眺める車窓を撮ったりする。もちろん新幹線なので早すぎてあんまり撮れないんだけど。

原田マハは小学校2年の時に寅さん映画に感動したそうだ。それはとても早い。僕は中学2年だ。それでも早いと思っていたんだけど、小学2年で寅さんファンとはやはりただものではない。話はフーテンの旅話となり、博多の話も出てくる。すると2年ほど前に撮影させていただいた「吾輩堂」という猫の本ばかりを集めて販売している方の話が出てきた。原田マハの古くからの知り合いらしく、博多に来た時はこの方の家に泊っているとのこと。まあちょっとした知り合いの知り合いが原田マハということを知り、世間って狭いもんだなあと思ったり(今年はそう思うことがほんとしばしば)。

 ふと車窓を眺めると八代付近。

広大な畑の向こうで小さな野焼きをやっているのが見えた。青い夕暮れの時間に青い煙。アッという間に過ぎてゆく車窓からはずいぶん煙が上がっているように見えたんだけど、写真でみると煙は二つ。しかもこれって焚火程度なのかもしれない。こんな何てことのないシーンが後でジーンと思い出されてくることがある。今も何となくそんな気持ちになっている。これってどういう感情なんだろうか。懐かしいわけでもないし(おとといのことだし)、特に詩的な光景でもないし。

このごろはこういったほんの少しだけ感情の揺れ動く、なんてことのない写真にとても惹かれている。


閲覧数:58回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page