top of page
川上 信也

雨音の奄美大島 その1


遅くなったけれど先月行ってきた奄美大島のことを。

ずっと行こう行こうと思いながらなかなか行けずにいた奄美大島。たまっていた飛行機のマイル有効期限が近づいているという通知があり、これはもう無理してでも行かなければということで今年のお正月明け、実家の松山から戻って数日後の便を予約したのだった。奄美の雨の森を撮影してみたいと思っていたので、雨の予報を選びながらの2泊3日の短い旅。福岡からは直行便があり、ほんの一時間ほどで到着する。出発時刻は朝の7時だ。早いけれど、そのぶん島での時間が増えるし、便利な福岡空港なら早朝でも何とかなってしまう。

まず飛行機の窓から。

朝の便に乗る楽しみは朝日を眺めることなので東側を望む席を取っていた。やや霞んでいたけれど美しい朝陽が顔を出し、しかも日輪になっている。上下左右にくっきりと現れた虹。これは結構珍しい現象ではないだろうか。雲のうえに行くと円形になってきた。

8時過ぎに奄美大島到着。

予報通り雨。緑がとても力強く感じられる南国特有の空気に包まれる。雨音まで南国風に聞こえてくるのはなぜだろう。葉っぱが大きいから響きが違うのだろうか。レンタカーを借り、とりあえず名瀬方面に走らせた。途中に見えてくる南国の植物に心をときめかせながら何度も止まって撮影。

レンタカーはCDも聴けない格安パックだったので(3日間で7500円)、ずっと雨音を駆け抜けながらのドライブ。これが今回の旅の印象をより深く豊かなものにしていった。

初日は午後から金作原原生林のツアーに予約してあったのであまりゆっくりはできないけれど、それまでに見ておきたい場所があった。モダマという不思議な植物が自生している森。東仲間という地名をたよりに車を走らせる。名瀬から15分ほどだろうか。

雨の森はモノクロでの撮影をイメージしていたので、モノクロに設定し、RAWでも撮影しておいて後々カラーでも対応できるようにしておいた。

林道から5分ほど歩いて到着するモダマの森。南国特有の柔らかい空気の中、木々たちが自由に体を伸ばしたような姿。

30分ほど撮影していると僕のすぐ隣におばあちゃんが現れてびっくりして滝壺に落ちそうになった。すると後ろから三線を持ったお兄さんもやってきて、島の唄を歌い始めたのだった。宿の方のサービスだろうか。雨音の中に響く奄美の心。僕はしばらく唖然としていたけれど、撮影が終わってから次第に余韻が心を覆ってゆく。あの不思議な時間は何だったのだろうかと。民謡を聴きながら撮影していたのがこの一枚。

午後から金作原原生林へ。ここは勝手に行ってはいけないという情報があったのでツアーに申し込んだのだが、砂利道になる手前の広場に車を置いて3キロほど歩けば自分一人でも来ることができそうだ。やはりマナーの悪い人が多くなるからできるだけツアーでということになっているんだろう。

雨は降り続いている。ガイドさんいわく

「このモコモコした木々の姿が奄美大島なんですよねー。」

ツアー参加者は僕も含めて5人。僕は撮影しながら一番後ろから着いていった。ガイドの方が言われるように、原生林は雨のほうが断然いい。背の高いヘゴの木が雨に霞んでさらに高く感じられる。

水たまりに響く雨の音、落ち葉を踏みしめる足音、時々鳥の声もする。空と大地から生まれてくるさわやかで清浄なる南国のメロディー。

ガイドさんがいなければ見落とすであろう植物も結構ある。黄色い花 青い花、またユリ科の植物の不思議な模様。

どの植物たちも雨に輝いている。

奄美大島にははっきりした秋がないそうだ。紅葉の木々はほんのわずかしかない。

ここの林道は落ち葉で黄色くなっていて、これが秋らしいといえば秋らしいとのこと。

3時間ほどの原生林ツアーが終わり、雨はなおも降り続いている。

夕食は帰りの国道沿いでたまたま見つけた島豆腐のお店。かなりのごちそうで850円だ。

しかも奄美のミキが飲み放題。このミキは米と芋、砂糖のみの発酵飲料らしいけれど、過去に飲んだ経験があり結構苦手な味だった。しかしこのお店で初めて美味しいミキと出合い3杯飲んだ。この飲み物が奄美大島の方々の長寿の秘密といわれているらしい。

その2へつづく。

閲覧数:123回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page