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  • 川上 信也

街歩き


天神のアクロスへパスポートの切り替えに行き、手続きを終えて中央公園を歩いていると、ふとこのまま家まで歩いてみようと思った。冷たい風が木々の葉っぱを揺らして僕の体も震えているけれど、冬空を眺めながら歩くという感覚は、かつてくじゅうで仕事中に味わっていた感覚と何となく似ている気がした。結構心地いい感覚。次第に体も気持ちも温まってくると見えてくる景色まで変わってくるあの感覚。

 まず西通りまで突き当り、けやき通り方面へと向かった。去年から何度となくけやき通りは歩いている。レコードを再開したので何度となく「田口商店」にお邪魔していたのだ。学生時代から通っているお店が今でもちゃんとそこにあるというのはとてもうれしい。レジはあの頃よりさらにレコードで埋もれていたけれど。今回は手荷物になることを考えて覗いただけだったけれど、あの蛍光灯の下でLPレコードをシャカシャカとめくってゆく仕草はいろんな期待を心に思い浮かべるとにかく楽しい時間だ。

このけやき通り、若葉の頃ももちろんいいけれど、この冬並木のほうがとても都会的で美しいと思う。木々を通して見える建物もいい具合に年季が入っていて個性的な街並みの顔を創り出している。街灯や木々が描く歩道の影もまたいい。

古レコードを片手にブックスキューブリックで本を買って美味で珈琲というのがこの通りの幸せなる時間。今日はとにかく歩くことなのでそのまま手ぶらで福岡城址を抜けて唐人町商店街へ。途中途中に見える冬空の下の建物や水辺。何てことにのない風景に町の顔が見えてくる。

唐人町周辺は新旧の混ざり合いが不思議な空気を生み出している。学生の頃もそうだし今もそうなので時間の経過というものがよく分からない。もちろん消えていったものもたくさんあるんだろうけれど、それをあまり感じさせない不思議な空気感が漂う町。

東側の商店街入り口から入ってしばらく歩くと、奄美大島の店があった。先日行ってきたばかりなので自然と足がとまった。黒砂糖や黒糖焼酎、パパイヤ漬けもある。中からおばちゃんが出てきてしばらく立ち話。このお店は4年目になるという。隣に居酒屋もあり、店主が奄美の方らしい。これはぜひ行ってみたい。今日は定休日とのこと。

そして先日の奄美でも飲んだ「みき」。こちらにもちゃんとあったので一本購入。福岡で「みき」が売られているお店なんてここだけではないだろうか。

安納芋の焼き芋も購入。こちらは種子島産らしい。

唐人町が変わらない印象とはいえ、大通りに出てみると近代的なビルが立ち並びんでいる。通りの先に見える新しいビルが象徴的にそびえている。

続いて西新へ。

以前住んでいた町なので思い出の町ということになるんだけど、西新はずいぶん変わってしまった。岩田屋もないし、ビブレもない。トポスもないし、よく行っていたモスもない。

でもここは変わらない。

蜂楽饅頭の行列。

値段もほとんど変わってないような気がするけれどどうなんだろう。一個百円。

15分ほど並び、僕は事前に白2個を頼んでいたけれど、閉店間際なのでもしかするとなくなるかもしれないと並んでいる10人ほどに知らされた。5時半できっちり焼くのを終了するそうだ。前に数人並んでいたけれど、おそらく大丈夫だろうと思っていたら前の前の方がなんと26個注文。一気になくなってしまった。

かろうじて黒が数個残っていたので僕は黒に変更してなんとかありつけたけれど、後ろの方々は寒い中並んでいたにもかかわらずありつけなかったようだ。26個注文の方、別に悪いことしたわけではないんだけど、みなさん白い目で見つめてましたねえ。

そして藤崎から室見へ。

室見には不思議なお店がけっこうあって、酒屋さんの角打ちバーや、裏通りには貸本屋なんてのもある。貸本屋はいつもひっそりしているけれど、角打ちはいつも5、6人はおられる。どういう方々なのか気になるけれど、こういう店はとても敷居が高い!いろんな意味で。

というわけで室見に自宅に戻ったわけだけど、おそらく10キロ以上歩いたんだろうと思う。車や自転車では見えてこない発見がたくさんあった。人や建物、なんてことない電柱までもこれらの息づかいが聞こえてくるといった感じだろうか。これからもいろんな町をできるだけ歩いてみようと思っている。

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