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川上 信也

くじゅう佐渡窪へ


今日は朝から天気もよく、久々に軽い登山でもしてみようと思い立った。

どこへ行こうか迷っていたんだけど、車を九重連山へ向け10分ほど走らせたところで決めた。レゾネイトくじゅうあたりから登って佐渡窪あたりまで行ってみようと。たぶん2時間弱くらいの登山だろうか。今年の春に取材したコースでもあるので、違う季節に行ってみたいと思っていた。山小屋勤務時代はマンサクの撮影に行ったりしていたけれど、法華院からだと結構遠い。ということは久住高原からは結構近いということだ。

 レゾネイトの第3駐車場に止め登山開始。一応紅葉のシーズンなので結構人がいると思っていたんだけど、僕一人だ。独り占めのようでいいんだけどそれはそれで寂しい気も。

登り始めて30分ほどのところから紅葉が目にとまるようになってきた。見上げれば鮮やかで青空に映えている。

足元には落ち葉とどんぐり、木々に守られるようにキノコも顔を見せている。

ゆっくり撮影しながらおよそ2時間(結構ゆっくりです)、佐渡窪が見えてきた。

くじゅうの山々に囲まれてひっそり静まり返った窪地。湿原になるんだろうけれど、坊がつるやタデ原とはまったく違う雰囲気で、規模も小さいし、おそらくそれほど人気もない(誰にも会わなかったんだから)。でもこの穴場的雰囲気がとても好きだ。まさに穴のような場所なんだけど。

入り口に木道が設置されていて、足音が周囲の山々にこだましそうだ。やっぱりこの場所、好きだ。

草むらでおにぎりを食べ、しばらく座って鳥の声を聴いていた。

鉾立峠が見えている。かつてアシスタント犬のポリと何度も散歩に来ていた峠。懐かしい立中山も見えている。その向こうが坊がつるだ。ここからは見えないというのがいい。頭の中で思い出の場面を次々に映し出しながら峠を眺めていた。たまにはいろいろと思い出すのもいいかもなあ。あの頃の経験が今も生かされていると思っているし。

ということで「坊がつる賛歌」を時折口ずさみながら下山したけれど、この歌って結構寂しいですね。歌詞もメロディも。白丹では一日に数回、時報代わりにこのメロディが流れているけれど、子供たちから「怖い」という声もあるそうだ。確かによく知らない子供にとってこのマイナーのメロディは不気味に思えるのかもしれない。

「佐渡窪賛歌」ってのはないんだろうか。あるわけないですね。

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